鎌倉移住のリアル体験談【5年住んで分かった真実】|憧れと現実のギャップを全て語ります

鎌倉移住を決めた理由と当初の期待
東京での消耗生活に限界を感じて
5年前、私は東京・品川のIT企業で働く29歳の会社員でした。毎日満員電車に揺られ、終電で帰宅し、週末は疲れて寝るだけ。ある日、友人に誘われて鎌倉を訪れた時、江ノ電の車窓から見える海に心を奪われました。
「ここに住めたら、人生変わるかもしれない」——その瞬間、鎌倉移住を決意しました。2019年3月、築30年の1Kアパート(家賃7万8千円)を契約。引っ越し当日は晴天で、「これが私の新しい人生のスタートだ」と胸が高鳴ったことを今でも覚えています。
描いていた理想の鎌倉ライフ
当時の私が想像していた鎌倉生活は、こんな感じでした:
- 朝は海岸をジョギング、新鮮な空気を吸って爽やかスタート
- 休日は寺社巡りや季節の風景を楽しむ優雅な時間
- おしゃれなカフェで読書やノマドワーク
- 地元の人たちと温かいコミュニティを築く
- 都会のストレスから解放された穏やかな日々
今思えば、完全に「雑誌の特集記事」を鵜呑みにしていました(笑)。現実は、もっと複雑で、もっと面白くて、もっと厳しいものでした。
移住1年目:理想と現実のギャップに苦しんだ日々
問題①:通勤時間が片道1.5時間になった
これが最初の、そして最大の誤算でした。鎌倉から品川まで、乗り換え2回で片道1時間30分。往復3時間。月間で計算すると約98時間——これは東京時代の通勤時間の3倍でした。
最初の1ヶ月は「車窓から海が見えるから大丈夫」と自分を励ましていましたが、2ヶ月目には疲労困憊。朝6時半に家を出て、帰宅は22時過ぎ。「何のために鎌倉に来たんだっけ?」と自問する日々が続きました。
転機:3ヶ月目、諦めて通勤時間を「自分時間」に切り替えました。映画をスマホで観る、読書する、英語を勉強する——結果的に5年間で映画1,200本以上鑑賞、読書200冊以上達成。災い転じて福となった好例です。
問題②:週末の観光客ストレスが想像以上
2019年5月のゴールデンウィーク、初めて「地元民としての週末」を体験しました。鎌倉駅前は人で溢れ、スーパーまで行くのに通常の3倍の時間。小町通りは前に進めないレベルの混雑。近所のコンビニにも観光客の行列。
一番衝撃的だったのは、自宅前(住宅街)で見知らぬ観光客が記念撮影していたこと。「ここ、私の家の前なんですけど…」と言いたかったですが、言えませんでした(笑)。
適応策:週末は極力外出しない、または早朝・夜間に買い物を済ませる生活スタイルに。平日と週末で完全に別の街に住んでいる感覚です。
問題③:物価が思ったより高い
鎌倉のスーパーの物価は、東京とほぼ変わらないか、むしろ高い。特に野菜や魚は「観光地価格」が上乗せされている感じ。節約のため、藤沢のスーパーまで自転車で20分かけて買い出しに行く日々が続きました。
外食も高い。ランチ1,500円〜、ディナー3,000円〜が相場。地元民向けの定食屋もありますが、数が限られています。食費は東京時代より月2万円増えました。
移住3年目:ようやく見えてきた鎌倉の本当の魅力
朝の鎌倉が最高に贅沢だと気づいた
2021年6月のある朝、ふと思い立って5時半に起床し、材木座海岸まで散歩に行きました。朝日が昇る瞬間、波の音だけが響く静けさ、空気の澄んだ清々しさ——その時初めて「ああ、これが鎌倉に住む価値なんだ」と実感しました。
以来、早起きが習慣に。朝6時の鎌倉は観光客ゼロ。地元の人が散歩し、サーファーが波に乗り、猫が路地を歩く——本来の鎌倉がそこにありました。通勤前の1時間が、私の最も大切な時間になりました。
地元コミュニティとの繋がりができた
移住3年目、近所の八百屋のおばちゃんが「いつも朝早いわね」と声をかけてくれたのがきっかけで、少しずつ地元の人と話すようになりました。商店街の魚屋、パン屋、花屋——みんな最初は警戒していましたが、顔を覚えてもらうと驚くほど親切です。
「今日の魚、新鮮だよ」「このパン、焼きたてだから持ってきな」——そんな何気ない会話が、都会では得られなかった温かさでした。観光客には見せない、地元民だけの鎌倉がありました。
四季の変化を肌で感じる豊かさ
東京にいた頃、季節の変化なんて意識したことがありませんでした。でも鎌倉では、桜、紫陽花、紅葉、梅——四季がくっきりと目に見える形で現れます。
2022年3月、近所の鶴岡八幡宮の桜が満開になった日、通勤前に立ち寄って10分間眺めました。たったそれだけで、その日一日が豊かな気持ちで過ごせました。季節を感じる余裕——これが鎌倉移住の最大のメリットかもしれません。
移住5年目:正直に語る「鎌倉移住のメリット・デメリット」
【メリット】鎌倉に住んで本当に良かったこと

1. 自然と歴史が日常にある贅沢
徒歩10分で海、徒歩5分で寺社、徒歩15分で山のハイキングコース——これが普通の環境。休日に遠出しなくても、近所の散歩だけで十分リフレッシュできます。800年の歴史を持つ寺院が「近所」にある不思議。
2. 通勤時間が自己投資の時間になった
片道1.5時間を映画鑑賞に充てた結果、5年で1,200本以上鑑賞。この経験が今の映画レビュー執筆に直結しています。通勤時間は無駄ではなく、使い方次第で最高の自己投資時間になると証明できました。
3. 観光地に住む優越感(小さな特権)
友人が鎌倉に遊びに来た時、地元民しか知らない穴場を案内できる優越感。隠れた絶景スポットや、混雑回避ルートを知っている特権。小さいけれど、確実に嬉しいメリットです。
4. ストレスフリーな休日
東京時代は休日も人混みでストレス。鎌倉では平日の海や寺院が貸切状態。朝6時の材木座海岸、夕方17時の長谷寺——誰もいない贅沢を独り占めできます。
5. 健康的な生活リズムになった
早起き習慣、海沿いの散歩、新鮮な空気——5年間で体重3kg減、風邪をひく回数も激減。自然に健康的なライフスタイルになりました。
【デメリット】鎌倉移住の厳しい現実

1. 通勤時間の長さは覚悟が必要
片道1.5時間、往復3時間は確実に体力を消耗します。リモートワークや鎌倉近郊勤務でない限り、この負担は避けられません。体力に自信がない人には正直おすすめしません。
2. 週末の混雑ストレスは避けられない
週末は別の街。スーパー、コンビニ、道路——全てが観光客で溢れます。「普通の買い物」ができないストレスは、5年経っても慣れません。週末引きこもり体質になります(笑)。
3. 物価が高く、生活コストは都内と変わらない
家賃は都内より安いですが、食費・日用品が高い。トータルの生活費は東京時代とほぼ同じ。「地方移住で生活費削減」を期待するなら、鎌倉は不向きです。
4. 車がないと不便な場面が多い
大きな買い物、郊外の大型店、病院——車がないと不便。でも駐車場代は月2〜3万円。私は自転車で頑張っていますが、雨の日は本気で車が欲しくなります。
5. 湿気と塩害がハンパない
海が近いため、湿気と塩害が深刻。洗濯物が乾きにくく、金属はすぐ錆びます。自転車は3年でボロボロ。除湿機は必須アイテムです。
「鎌倉移住に向いている人・向いていない人」5年の結論
鎌倉移住に向いている人
- リモートワーク可能な人:通勤時間がなければ、鎌倉は最高の環境
- 早起きが得意な人:朝の鎌倉を楽しめる人には天国
- 観光客を気にしない人:週末の混雑をスルーできるメンタル必須
- 自然・歴史好き:寺社巡り、海、山が好きなら間違いなく満足
- 一人時間を大切にする人:静かな環境で自分と向き合える
鎌倉移住に向いていない人
- 都内通勤が必須の人:通勤時間3時間は本当にキツイ
- 便利さ重視の人:大型店、24時間営業店は少ない
- 人混みが苦手な人:週末の混雑に耐えられないなら無理
- 生活費を抑えたい人:物価は決して安くない
- 車を持ちたくない人:車なし生活はかなり不便
5年住んで出した結論:「鎌倉移住、後悔してる?」
よく聞かれるこの質問。答えは——「後悔していないけど、簡単ではなかった」です。
正直、最初の2年間は何度も「東京に戻ろうか」と思いました。通勤の疲労、週末の混雑、予想外の出費——理想と現実のギャップに苦しみました。友人には「鎌倉移住は失敗だったかも」と愚痴ったことも何度もあります。
でも3年目以降、少しずつ鎌倉との付き合い方が分かってきました。「観光地」として見るのではなく、「生活の場」として受け入れる。週末の混雑も、通勤時間も、全て含めて鎌倉なのだと。
鎌倉が教えてくれたこと
5年間の鎌倉生活が教えてくれたのは、「理想の生活は、待っていても来ない」ということ。雑誌に載っているような優雅な暮らしは、努力と工夫と妥協の上に成り立っています。
朝5時半起きの散歩も、通勤時間の映画鑑賞も、週末引きこもり戦略も——全て自分で作り出した「鎌倉ライフハック」です。与えられた環境をどう楽しむか、それが移住生活の本質だと気づきました。
予想外の副産物:人生が豊かになった
通勤時間で1,200本の映画を観た経験が、今の映画レビュー執筆に繋がりました。早朝散歩の習慣が、健康と精神の安定をもたらしました。季節の変化を意識する生活が、日々の小さな幸せに気づく感性を育てました。
鎌倉に移住しなければ、これらの経験は得られなかった——そう考えると、通勤時間も週末の混雑も、全て「投資」だったのかもしれません。
これから鎌倉移住を考える人へのアドバイス

1. 最低1ヶ月は「仮住まい」してみる
マンスリーマンションやAirbnbで1ヶ月暮らしてみることを強く推奨。観光と生活は全く別物です。通勤してみて、買い物してみて、週末を過ごしてみて——それから決断しても遅くありません。
2. リモートワークか転職を検討する
都内通勤が必須なら、本気でリモートワーク交渉または転職を考えるべき。通勤時間3時間は、想像以上に人生を消耗します。私は転職できなかったので通勤時間活用で乗り切りましたが、できれば避けたかった。
3. 「憧れ」だけで決めない
インスタ映えする鎌倉と、生活する鎌倉は別物。雑誌やSNSの情報だけで決断すると、必ず後悔します。地元民のリアルな声(この記事とか)を参考にしてください。
4. 予算は多めに見積もる
鎌倉の生活費は安くありません。家賃+食費+光熱費+交通費で、最低でも月20万円は必要。余裕を持った資金計画を。
5. 「完璧な移住」は存在しないと知る
どこに住んでも、メリットとデメリットは必ずあります。鎌倉も例外ではありません。大切なのは、デメリットを受け入れられるか、メリットがそれを上回るか——冷静に判断することです。
まとめ|鎌倉移住は「人生の選択」であり「冒険」である
5年前、29歳の私が鎌倉移住を決めた時、周囲は「やめた方がいい」と反対しました。でも私は飛び込みました。結果、苦労もしたし、後悔もしたけれど——今は「やって良かった」と心から思えます。
鎌倉移住は、安易な「癒し」や「逃避」では成功しません。覚悟と努力と、何より「この街を好きになる気持ち」が必要です。観光客としてではなく、生活者として鎌倉と向き合う——それができれば、きっとあなたも「鎌倉移住して良かった」と言える日が来るはずです。
もしあなたが今、鎌倉移住を迷っているなら——まずは一度、平日の早朝に鎌倉を訪れてみてください。観光客のいない静かな鎌倉、地元の人が生活する本当の鎌倉——その姿を見て、それでも「ここに住みたい」と思えるなら、きっと大丈夫です。
私はこれからも鎌倉で暮らし続けます。通勤時間3時間も、週末の混雑も、全て受け入れて。なぜなら、それでも鎌倉が好きだから。それが5年間で出した、私の答えです。
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